産婦人科医・稲葉可奈子先生に聞く、生理のこと
生理のことは自分の身体のことではあるけれど、よく知らない。月経カップのことも、なんとなく聞いたことがあるけど詳しくわからないし、本当に大丈夫なのかな?と思う方もたくさんいらっしゃると思います。
今回、産婦人科医の稲葉可奈子先生に、専門家の立場から生理と月経カップについて教えていただきました。この記事はその第一弾、生理についてです。
こちらもあわせてご覧くださいね。
第二弾「産婦人科医・稲葉可奈子先生に聞いた!月経カップの疑問」
●生理ってなに?
多くの女性の身体は、妊娠に備えて毎月排卵しています。卵巣から排卵すると、それが受精して子宮に受精卵が来るかもしれないと、その受精卵を待ち構えるために子宮の内膜をふかふかのベッドのようにし、分厚くして着床しやすいように準備します。今月は受精卵が来ないとわかったら、内膜は必要ないのでリセットしようと剥がれ落ち、それが身体の外に出ていくのが生理の経血です。
●生理周期が不規則でも大丈夫?
今妊娠を望んでいないのであれば、実は生理は必ず毎月来ないといけないものではありません。一般的には毎月大体4週間周期で来ることが多く、そこから前後する人もいますし、ちょっとしたストレスや環境の変化で生理の周期がずれるということはよくあることなので気にしなくて大丈夫です。自然な体の変化です。
ただし、妊娠を望んでいないからといって、自然体で生理がずっと来てなくてもいいということはなくて、不規則に1〜2ヶ月ずれるという場合は様子を見て過ごしても大丈夫ですが、不規則で困る場合や3ヶ月以上生理が来ない場合は、産婦人科を受診していただきたいです。
●生理の日数はどこからどこまでが正常?
生理の日数は5日から1週間あまりが多いですが、その前後に少量出血する日を生理日数に含めるかどうかにもよるので、教科書通り(3〜8日間)でなくてもすぐに「病気だ!」と思う必要はありません。
ただし、生理が10日以上少量だけれどずっと続いているというときは、他に出血の原因があるかもしれないので、様子を見ずに必ず受診してください。異常がない場合もありますが、検査してみないとわからないので、まずは産婦人科にご相談ください。
一方で、生理の日数が短い、量が少ないというのはラッキーと思って大丈夫です。量や日数が少ないという心配で受診される方が多いのですが、心配なのは量が多い・期間が長い方です。
●経血量の基準はある?
経血量の目安は、日中でも夜用ナプキンやオムツ型のナプキンが必要で、それを使わないとあふれて外出もできないという方は、過多月経の場合が多いです。経血量が多すぎて知らないうちに貧血になっているなどの可能性もあるので受診した方が良いです。
また、とても量が多いという程ではなくても、生活スタイルやお仕事の状況でなかなかトイレに行きたいタイミングで行けないという方は、量をコントロールすることもできるので、産婦人科でぜひ相談してください。
●生理はコントロールしてもいいの?
生理の回数や量を減らしたり生理のタイミングをずらしたりすることは、体にとって悪いことではありません。産婦人科を受診してご相談いただければ、ピルなどでコントロールすることができます。我慢して生活の質が落ちてしまうより、上手にコントロールしながら生理と付き合っていけるとよいですね。
●生理のときにした方がいいこと、控えた方がいいことはある?
基本的には気にしなくて大丈夫です。生理のときはだるさがあることも多いと思うので、だるいときは無理をしないことが大切です。運動や入浴すると気が紛れるという方は取り入れればいいし、辛かったらしない方がよいです。ご自分でやってみていいなと感じたことを取り入れていくような感覚で大丈夫です。
強いて言うなら、経血量が多い方は生理期間に貧血になることもあるので、鉄分多めの食事をとっていただくとよいです。鉄分多めの食事というと、レバーなどそんなにたくさん食べれないよねというメニューが出てきますが、実は赤身のお肉でも十分です。ザ・鉄分!みたいな食事を意識しすぎる必要はなく、少し食事に気をつけていただくと体が楽になるかなと思います。
●稲葉先生からのメッセージ
この記事を読んでくださっている方は、生理に関心のある方だと思うので、PMSや経血量が多いという場合など、なにか困った症状があったら、ぜひ産婦人科に気軽に相談してください。HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)のキャッチアップ接種対象年齢の方は今年の夏までに打ち始めていただきたいですし、みなさん子宮頸がん検診も受けてくださいね。
稲葉先生ありがとうございました!
少しでも生理について理解が深まったらうれしいです。ご自身の生理で気になることがあったら、ためらわずに産婦人科を受診してくださいね。
稲葉可奈子先生 プロフィール 産婦人科専門医・医学博士 京都大学医学部卒業、東京大学大学院にて医学博士号を取得 双子含む4児の子育て中 2024年7月に渋谷駅直結のレディースクリニック 「Inaba Clinic」 を開業。「あらゆる年代の女性の健康とその先の未来をサポート」をモットーに、生理痛、PMS、妊娠希望、性感染症、更年期症状など、どんな症状でも相談しやすい女性のかかりつけ産婦人科です。 みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト 代表 / みんリプ!みんなで知ろうSRHR 共同代表/ メディカルフェムテックコンソーシアム 副代表 フジニュースα公式コメンテーター / Yahoo!エキスパート / NewsPicksプロピッカー 書籍『シン・働き方 ~女性活躍の処方箋~』など |