わたしの生理 Vol.034 - 20代前半で子宮頸部異形成に 軽度・中度・高度へと進み 手術を経て知った身体と向き合う大切さ
えりか 31歳 起業家
初経:中学2年生(14歳)
現在の平均生理日数:5日
現在の平均生理周期:28日
現在使っているサニタリーグッズ:オーガニックコットンナプキン、月経カップ(murmo)
- 生理はどんな日ですか?
デトックスデイ
- 生理と聞いて浮かぶイメージは?
出血が心配
- ここから、生理を軸にご自身の半生をふりかえっていきたいと思います。初経はいつですか?どんな風に覚えていますか?
初経は、中学2年生でした。そろそろくるものという認識はあったので実際にきたときは「自分にもきてよかった」と安心しました。ただ、母がお赤飯を出してきたときは、生理がきたことを家族に共有されてしまったと思い、恥ずかしく、居心地の悪い気持ちになりました。後で姉にそのことを打ち明けたら「そんなもんだよ」「自分のときもそうだったよ」と言われ、「自分が気にしすぎていただけだった」と思った記憶があります。
- 中学生の頃の生理について覚えていることはありますか?
母親の体質を受け継いでか、経血量がとても多くて、血の塊が出ることもよくありました。小学校・中学校と部活に所属し、朝から晩まで外で練習をしていたので、グラウンドにいるときはトイレへのアクセスが悪く、さぼってると思われる心配もあって、練習中はなかなかトイレに行きませんでした。そのため、同じナプキンを長時間つけっぱなしにすることもしょっちゅうでした。ナプキンが汗でびしょびしょになり、かなり不快だったことを覚えています。でも、当時は生理痛もなく、周期も規則的で安定していて、月に一度経血が出るデトックスという印象でした。
- 高校生になると、また環境も変わったかと思います。高校生時代の生理のエピソードはありますか?
高校では、ダンス部に所属しました。創作ダンスというジャンルで、ジャズ、バレエなど様々なジャンルをミックスして踊るものです。リフトや足を高く上げる動きも多く、生理中はナプキンがずれたりしないか、血が漏れていないか、常に気になっていました。リフトでは、ペアの男子部員に持ち上げてもらうので、生理中は「今日はお腹は押さないで」と素直に伝えていました。ペアを組んでいた男子部員は姉がいる人だったからか慣れている様子で、さらっと受け止めてくれていたので、気まずくなることはありませんでした。
厳しい部活で、体調が悪くても常に同じパフォーマンスをしなくてはいけない雰囲気がありました。高校生になってから、生理前日にだけ生理痛が出るようになって、その時だけ薬を飲むという自分のルールもできました。母から「薬を飲みすぎると効かなくなる」と言われていたので、なるべく服用は初日だけにしていました。
- 高校を卒業し、大学に進学されたえりかさん。大学生活での生理や、当時について覚えていることはありますか?
大学では経営学を専攻しました。実は、高校生の頃から漠然と起業したいという思いから選んだ道でした。幼少期から周囲には活躍する女性が多く、エネルギッシュでかっこいいと感じていました。好きなことをしている人は生き生きしている、という印象が幼い頃からあったので、自分も「やりたいことを形にできること」に憧れていました。
大学時代も生理痛はほぼなく、順調に生理が来ていたのですが、ただでさえ多い経血量がさらに増えて、「もしかしたら病気なのかな」と心配になって、婦人科にかかったこともありました。とくに異常はなかったので、そういうものなのかなと思って、日常に戻りました。
- 大学を卒業してからのことをおしえてください
大学卒業後、大手化粧品会社に就職し、全国転勤を経験。飛行機出張も多く、多忙な生活。移動が多いので、トイレに行くタイミングを逃しやすく、我慢する癖がついてしまいました。
また、はじめて実家を出て一人暮らしをしたので、生理用品のストックがなくなったことに気づかず、慌てて買いに走ることもありましたね。
経血量は相変わらず多く、気づいたら経血がパンツまで漏れてしまうことも...女性の多い職場だったので、周りの人が気づいてフォローしてくれることもありました。とにかく忙しかったので、自分の身体は二の次でした。今思えば、もっと自分の身体と向き合う時間を作っておけばよかったと反省しています。
- その後、生理や身体に変化はありましたか?
入社2年目の健康診断で、子宮頸部の軽度異形成が発覚しました。進行すると子宮頸がんになるリスクがあるものです。とくに自覚はなく、初めての婦人科系の異常だったので戸惑いましたが、当時は「経過観察」と言われ、来年の健康診断で検査をするという方針でした。受診した婦人科医が男性だったこともあり、あまり詳しく話す気になれず、軽く流してしまいました。
翌年の健康診断で、中度異形成と診断されました。昨年の診察で男性医師だと話しにくいと感じたことをいかして、このときは女性医師に診てもらいました。診断は昨年と同様で、1年後の検診まで経過観察となり、とくに治療はせずに、変わらず仕事に邁進する日々を送りました。
そして、1年後の子宮がん検診で、高度異形成の診断がくだりました。1年ごとに軽度→中度→高度とあがっていってしまい、これはまずいのでは...と思ったのですが、検診を受けた婦人科では「ストレスを溜めなければ大丈夫」というお話だったので、とくに治療を受けることもなく、わたしもあまり気に留めませんでした。
都内の実家に帰ったときに、念の為、婦人科で診てもらおうと思って受診したところ、「あなた、何やってるの。すぐに紹介状書くから手術しないと」と言われ、専門病院への受診を勧められ、受診、その後「子宮頚部レーザー蒸散術」を受けました。
手術後、不正出血が続くようになりました。出血量がとても多く、ナプキンだけでなくパンツタイプのナプキンからも血が漏れるほどでした。この経験を通じて、自分の身体と向き合うことの重要性、そして女性が抱える生理のつらさを身をもって感じました。
1ヶ月半ほど経ち、出血はおさまって、これまで通りの生理に戻りました。
経過観察でしばらく3ヶ月おきに状態を診てもらうようになり、紆余曲折ありましたが今に至ります。
手術以降の変化がひとつあって、おりものの色や匂いが気になるなど、腟内の環境が不安定になったと感じるようになりました。病院ではとくに問題ないと言われていましたが、後に、子宮頸がんのレーザー手術をした人は、腟内フローラの環境が揺らぎやすいという可能性あることを知り、納得しました。
仕事は変わらず継続していましたが、辞令がくだり、東京に転勤となりました。
この頃から、仕事に対するモチベーションが変化し始めました。仕事では貴重な経験をたくさんできましたが、段々と今の環境ではこれ以上の成長は望めないのではないかと感じるようになっていったんです。わたしは幼い頃から、結果を出すことや自己実現に強いこだわりを持っていたので、現状維持では満足できませんでした。当時自分が携わっていたプロジェクトの完了を区切りとして、会社を辞める決断をしました。
辞めると決めてからは、自分に何ができるのかを模索する日々でした。そのなかで、女性の健康分野に大きなニーズがあることを知り、自身の経験からも貢献できることがあるのではないかと考えるようになりました。
そして新卒から勤めた会社を約6年で辞め、起業の道を選びました。自身のこれまでの経験を掘り下げたときに「こういう商品があったらいいのに」というアイデアが生まれました。それは、デリケートゾーンのケアに対する心理的ハードルが高い人でも、自分へのご褒美として使え、かつ効果を実感しやすい商品です。わたし自身がマメなタイプではないため、毎日のケアが続かなくても、特別な日のケアとして取り入れやすい設計にしました。2023年の終わりに、自身でフェムケアブランドを立ち上げ、フェムケア製品の販売をスタートしました。海外への展開も行いながら広げています。
この頃、わたしの生理状況に大きな変化が2つありました。まず1つめは、29歳くらいから生理痛がかなり激しくなったことです。生理痛が重い女性たちはこんなにもつらい思いをしていたんだと、はじめて実感をともなって理解できるようになりました。
2つめは、25年1月からピルを飲み始めたこと。身体がとても楽になったんです。経血量が大幅に減り、期間も5日から3日程度になりました。
ただし、ピル服用開始から1〜2ヶ月間は、吐き気やけだるさを感じたり、メンタルが落ち込んでしまい、女性ホルモンの変化が体に影響を与える影響度の高さを痛感しました。この経験を通じて、更年期で悩まれている方々がこのような感覚でいるのだと想像すると、そのつらさに改めて気づかされます。それと同時に、女性ホルモンの恩恵も大きく、その力を感じています。自分の身体の変化を受け入れ、向き合うことの大切さを、生理を通じて学びました。
- 生理をふりかえって、いま何を思いますか?
生理を振り返って今思うのは、「嫌な感情をスルーしたり、ふさぎ込んだりするのではなく、それをそのまま受け止めて、自分の中で抱えてみること」が大切だということです。
以前のわたしは、ネガティブな言葉を発すると自分も引きずられてしまうと思って、なるべくポジティブに考えようと自分に言い聞かせてきました。でも、身体はとても素直ですね。体調が悪いことや、つらいことを我慢する必要はないんだなって思っています。弱音を吐きたい時は吐いた方がいいし、頼れる時は頼った方がいい。体調が悪いことが「悪いこと」という認識が日本人にはあると思いますが、それはひとつのコミュニケーションの取り方として、素直になれたらと今だからこそ思います。
注釈:「わたしの生理」では、いろんな世代・環境の方が、生理とどのように向き合って暮らしてきたのか記録し共有することで、隠されがちな生理を考えて話すきっかけにしたいと取り組んでいます。特定の商品やサービスまたは対処法を推奨するものではありません。掲載されている内容はその方個人の体験ですので、気になる症状がある際はご自身で医療機関にご相談ください。
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