わたしの生理 Vol.031 - 「“ピリついてますが ホルモンによるものです” ってシール貼っておきたかった」
ゆう 46歳 デザイナー
初経:中学2年生(13歳)
現在の平均生理日数:5日
現在の平均生理周期:24日
現在使っているサニタリーグッズ:月経カップ(murmo)、おりものシート、使い捨てナプキン
- 生理はどんな日?
あ、生理来ちゃったみたいな日
(すごくネガティブでもポジティブでもどちらでもない)
- 生理と聞いて浮かぶイメージは?
ちょっと面倒臭い
- ここから、生理を軸にご自身の半生をふりかえっていきたいと思います。初経はいつですか?どんな風に覚えていますか?
初めて生理が来たのは、中学 1年の終わりか2年のはじめだったと思います。下着に茶色っぽいものがついていて、「あれ、なんだろう?」と最初は生理だとすぐには気づかず。「こんなふうに始まるの?」と不思議な気持ちになったことを覚えています。いわゆる“ドバッと出る”のではなく、じわっとにじむような始まり方でした。
家に母がいたので「生理になったかもしれない」と伝えると、すぐナプキンをくれました。生理用ショーツについては記憶が曖昧で、おそらく後日母が用意してくれて、そのセットを使うようになりました。
-中学生のときの生理はどんな状態でしたか?
当時の生理は今より経血量が多く、周期も不定期。ある日、気づかず学校にいて、ネイビーの制服スカートに血が染みてしまったことがありました。学校の椅子にもついて「誰かに見られてないかな…」と心配しながら、慌ててティッシュで拭きました。
体育の時間、経血が足を伝っている子を見て、誰かがそっと教えてあげる場面もあったり、生理に関する小さな「あ!大変だ」みたいなハプニングは、当時の学校生活につきものだったように思います。部活はテニス部に入っていたけど、運動で生理がつらいという記憶はとくにありません。
- 高校生で生理に変化はありましたか?
高校でも生理痛はありましたが、痛み止めを飲めば大丈夫なレベル。中学の時と比べて大きな変化はありませんでした。サッカー部のマネージャーとして、直接激しい運動をする訳ではなかったので、生理が負担になるような思い出も特にありません。
- 高校卒業後の進路と生理のことを聴かせてください
大学へ高校の成績だけでそこまで深く考えずに進学。卒業後は営業職か事務職…と考えた時、「自分にはどちらも向いていない」と悩むようになりました。そんな時、ファッションが好きだったこともあって、ファッション専門学校に通っていた先輩の卒業ショーを観に行ったんです。ドーム会場でのショーを見て、とても感動。「私もこれをやりたい!」と強く思いました。
1年間アルバイトで学費を貯め、大学3年から服飾専門学校の夜間課程へ。ダブルスクール生活が始まり、卒論や専門学校の課題、バイト、当時の彼氏との時間もあり、本当に忙しい日々。今思えば、この頃は人生で2番目に忙しい時期。子育てと仕事の両立期の次に大変だったな、と思います。そんな生活のなかでも、生理で困ったことは特になく、周期も安定していました。生理痛も重くなく、もともと婦人科系は丈夫な方なんだと思います。
- 大学を卒業して以降、どんな道に進みましたか?
大学を卒業したあと、新卒で地元企業でOLになりました。大学時代から通っていた服飾の専門学校はまだ2年残っていたので、昼間は仕事に就き、夜は学校へ通うという生活が始まりました。
2年経ち、服飾専門学校を卒業して、ようやく本格的にファッションの仕事に就くことができました。就職先は名古屋にあるアパレル商社。洋服のデザイナーとして働き始めました。専門学校で学んできたことをそのまま活かせる仕事で、「ついにこの道に入ったんだ」と思えた瞬間でした。
この会社では4年ほど勤務し、その間に結婚。結婚後も働き続けていましたが、夫の転勤が決まり、29歳のときに東京へ引っ越すことになりました。同時に退職し、新たな土地での生活が始まりました。
東京では、小さなアパレルの会社に転職しましたが、いわゆるブラック企業で、朝7時に出社し、日付が変わるまで帰れないような日々が毎日続きました。「このままじゃ身体がもたない」と感じて、半年ほどで退職。
その後、もう少し規模の大きい安定した会社にあらためて転職し、同じくデザイナー職として働きはじめました。出産を迎えるまでの数年間は、その職場で仕事を続けていました。
この頃も生理は軽い方でとくに変化はなかったと思うのですが、メンタルにくるPMSはあったと思います。生理前に感情が高ぶったり怒りっぽくなったりしていたのですが、自分は気性がちょっと荒い性格だと思っていたくらいです。出産後、これがホルモンによるものだったのだと強く実感することになります。
- 妊娠・出産、そして産後のお話を聞かせてください。
明確に子どもを“つくろう”と決めていたわけではなかったんです。避妊をゆるくしていたら、自然に妊娠していた、という感じです。31歳のときに出産しました。
妊婦生活はつわりはほとんどなくて、偏食が少しあったくらい。当時はマクドナルドのポテトLサイズが無性に食べたくなって、毎日のように食べていた時期もありました。でも、寝込むほどではなく、「自分は軽い方だったのかも」と感じています。
出産は名古屋の実家近くの病院で。特別なこだわりはなく、陣痛促進剤を使ってのよくある分娩でした。水中出産などへの関心もなかったし、「みんながやっているように普通に産めればいいかな」と思っていました。
東京に戻ったあと、夫は仕事へ行き、私は0歳の赤ちゃんとふたりきりの生活。友人も少なく、地域とのつながりも薄かったので、近所の児童館や子育て教室に足を運び、じょじょにママ友と呼べる人たちができていきました。
けれど、3〜4ヶ月もすると、「もう飽きちゃったかも」と思うように。やっぱり仕事が好き、働いている方が自分らしくいられると感じるようになっていきました。
そんなとき、名古屋時代の元同僚とごはんを食べる機会があり、「今、仕事って募集してない?」とこちらから聞いてみたんです。すると後日、「来てほしいって言ってるけど、どう?」と連絡をもらって。行きたい!とすぐに思いました。「来月から来られる?」と言われて、「子どもを預ける先を探します」と返事。そこから急いで保育手段を探すことになりました。
保育園の申し込みは時期的に間に合わなかったため、当時住んでいた大田区の「保育ママ制度」を利用することに。保育士や看護師資格を持つ方が、2人体制で自宅で3人まで子どもを預かってくれる制度でこのおかげで、無事に名古屋で働いていた会社の東京支店で働くことになりました。
そんななか、生後7〜8ヶ月の頃に生理が再開しました。母乳を継続していたけど、日中の母乳をあげていない時間が長い分、早く再開したのかもしれません。再開後の生理も、とくに大きな変化はなかったです。
その後、子どもが2歳になったタイミングで保育園に入れることが決まったのですが、ちょうどその時に家を購入して別の区に引っ越すことになり、結局毎日45分かけて保育園へ車で送迎する日々が始まりました。朝、車で保育園へ送り、最寄駅から電車で出勤。夕方にまた電車で戻り、子どもを迎えて車を走らせて帰宅。このルーティンは2年ほど続きました。
今ふりかえっても「人生でいちばん忙しかった時期」。学生時代のダブルスクールよりも、遥かにタフだったと思います。
仕事と子育てによる忙しさもあいまって、生理前になると、ふとしたことでイライラして夫にきつく当たってしまう。そして、その直後に「なんであんなふうに怒ってしまったんだろう」と自分を責めて、ひとりお風呂で泣く……そんなことがよくありました。
この頃からPMS(月経前症候群)という言葉が知られるようになって、「これは私の性格じゃなくて、ホルモンのせいなんだ」と知りました。本当は「いま、ピリついてるけど、それはホルモンの影響だからね」と、夫に伝えたかったけど、なかなか言えなかったです。今思えば「ただ今ピリついてますがホルモンによるものです」ってシールを貼っておきたかったくらい(笑)。
- それ以降の生理で変化はありましたか?
あるとすると、30代半ばで月経カップと出会ったことです。それまでは、ずっとナプキンで過ごしていました。吸水ショーツもまだなかったし、月経カップの存在は聞いたことがあっても、試すきっかけがなかったんです。
そんななか、あるときヨガ仲間が、「先生にすすめられて月経カップを使ってみたんだけど、すごく快適だったよ」と教えてくれたんです。興味はあったけれど、正直、最初は不安もありました。
「もし出せなくなったらどうしよう」「自分で腟に指を入れるって、うまくできるかな」。使っていたコンタクトレンズが取れなくなったときのような不安に近い感覚がありました。
でも、実際に試してみたら、意外と大丈夫でした。勇気を出してネットで購入し、まずは海外製のものを使ってみたんです。取り出すときに指でしっかりつかまなければならなかったり、畳んで挿入するときにけっこう力が必要だったりと、最初は少しコツがいりましたが、それでも「これ、意外といけるかも」と感じました。それからは、ナプキンと併用しながら、月経カップを使うようになっていきました。
その後、murmoに出会ったのは、たしか40代に入った頃だったと思います。
最初に驚いたのは、そのやわらかさと入れやすさ。これまで使っていた海外製のものと比べて、力を入れて畳む必要もなく、スッと収まって、取り出すときも痛くない。「あ、これが月経カップの快適さなんだ」と実感しました。
わたしは洗面所で月経カップを保管しているのですが、息子が見つけて、「これなに?」と聞いてきたことがありました。「女性は生理があるでしょ?そのときに使う生理用品だよ」と、自然に説明できたのもよかったと思っています。男の子だけど、隠さずに伝えられたことが、自分にとってもすごく大切なことだった気がします。
- 現在の生理の様子について聴かせてください。
40代に入ってからは、生理周期がだんだんと乱れてきました。もともとは24日周期で、月に2回くることもあるくらいコンスタントだったのですが、ここ1〜2年でそのリズムが崩れてきた感覚があります。2〜3ヶ月こないこともあるようになって、「あ、そろそろ終わりに向かってるんだな」と感じるようになりました。
もともと早めの周期だったこともあり、「私は早めに終わるタイプなのかもしれないな」と、自然に受け止めています。
更年期障害のような症状は今のところありません。ただ、生理が来ないというだけで、正直とてもラク。1年前に買ったナプキンが、いまだに使い切れていないくらいです。今は月経カップとおりものシートだけで、十分に足りています。
- 生理をふりかえって、いま何を思いますか?
思えば、あんなに毎月のように生理が来ていたのに、不思議と記憶に残っていないことに驚きました。
こうやって話していて、お正月に夫の実家へ帰省したときに、2年連続で生理と重なって、使用済みナプキンをビニール袋に入れて持ち帰った……なんてことも思い出しました。
当時はたしかに「どうしよう」「面倒だな」と思っていたはずなのに、過ぎてしまえばその「面倒」すら忘れてしまっていた。喉元過ぎれば熱さを忘れるという感じだったので、残りわずかの期間、もう少し向き合ってみてもいいのかもと思いました。
注釈:「わたしの生理」では、いろんな世代・環境の方が、生理とどのように向き合って暮らしてきたのか記録し共有することで、隠されがちな生理を考えて話すきっかけにしたいと取り組んでいます。特定の商品やサービスまたは対処法を推奨するものではありません。掲載されている内容はその方個人の体験ですので、気になる症状がある際はご自身で医療機関にご相談ください。
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