Vol.023 - ナプキンから広がる選択肢 布ナプ、タンポン、月経カップ 自分に合った生理の過ごし方
すもも 39歳 SEX C3カウンセラー
初経:小学5年生(11歳頃)
現在の平均生理日数:5日
現在の平均生理周期:31日
現在使っているサニタリーグッズ:布ナプキン、使い捨てナプキン
- 生理はどんな日?
覚悟する日
- 生理と聞いて浮かぶイメージは?
男性にわかってもらえないつらさ
- ここから、生理を軸にご自身の半生をふりかえっていきたいと思います。初経はいつですか?どんな風に覚えていますか?
正確には覚えてないのですが、小学校5年生くらいのときです。
自宅のトイレでショーツに茶色い血のようなものがついていたので、生理かもしれないと思ってそのことを母に伝えたところ、母から父に伝わり、ふたりから「おめでとう」と言われました。ふたりの反応をみて「生理がきたのはいいことなんだ」と受け止めました。
今思えばオープンな家庭だったと思います。幼いうちから性教育をしてくれる母でしたし、父も性について話すことは恥ずかしいものじゃないという考えを持っていました。
わたしが幼稚園に入る前後のときに、母に2冊の絵本をもらったんです。「男の子」「女の子」というタイトルで、そこには男女それぞれのからだの仕組みや成長が異なることがわかりやすく描かれていました。家庭内に男性は父だけだったので、男の子の身体がどうなっているのか、女の子の身体も大きくなっていくと変わっていくことなど、男女の身体について絵本を通して教えてもらいました。
自宅のトイレには母と姉が使う生理用品がストックしてあったので、わたしもそのストックのナプキンを使うようになりました。母が羽なしナプキン派だったので、必然的にわたしも羽なしナプキンを使うようになりました。羽なしだとずれやすいわけですが、その代わりに、わたしはナプキンが身体にピッタリくっついていると安心だったので生理中のみパンツを二枚重ねにしていました。サニタリーショーツの上に普通のショーツを履いて締め付けてピタッとさせるんです。季節を問わず二枚重ねにしていたので、夏はしんどかったですね。でもこの習慣は大人になっても続きました。今は補正下着を履くので、必然的に二枚重ねになり安心できています。
中学生になって変化はありましたか?
中学のときの生理は重かったです。生理痛はなかったのですが、夜用ナプキンを昼間につけるくらい経血量が多くて、腰が重いイメージです。生理日数も長めで、7日間で終わることはなかったです。最初の4日間は経血量が多くて、そこからだんだん減ってきて...という感じでした。あと、生理前はとても眠くて仕方なかったです。
学校での生理で記憶に残っていることが2つあります。
1つめは失敗談で、学校にいるときに経血が漏れていることに気づかなくて、椅子を汚してしまったこと。
2つめは、学校の校風です。生理のときに無理をさせない方針でした。たとえば、体育だとプールの授業以外でも、生理でつらいときは当たり前に休んで大丈夫だったり、身体に負担がかからないことを代わりにする制度になっていました。公立の共学校で男子生徒もいましたが、生理のことを話すのは恥ずかしい感覚はお互いにあるものの、女子が体育を休んでいたら、「あ、きっと生理なんだな」と男子も理解している、だけどそれを冷やかしたりすることもしない雰囲気だったと思います。
学校外だと、わたしはプールが好きだったのですが、姉が遊びの予定でプールにいくときに生理がかぶるとタンポンをつけてるのを知って「そうか、タンポンつければいいんだ!」と思ったことを覚えています。でも結局中学生のときは使わなかったですね。
-高校生になってどう変わっていきましたか?
中学と変わらず、生理痛はないけれど、生理前の眠気や生理中の身体の重さがつらい状態でした。
ただ、高校に入ってから変わったことは4つありました。
1つめは、それまで不規則だった生理周期が整ってきたこと。
2つめはナプキン漏れの失敗をしなくなりました。量が減ったということではなく、漏れないように対処する方法を見つけたり、生理のときの過ごし方に慣れてきたんだと思います。
3つめは、自分の生理用品の好みがわかってきたことです。それまでは母が選んだ使い捨てナプキンを使っていたのですが、化学繊維っぽいペタペタしたスリムタイプではなく、ふかふかの分厚いタイプが好きだとわかってきて、母にそのことを伝えて、自分が好むナプキンを買ってもらうようになりました。
4つめは、タンポンを使うようになったことです。家族とプールに行く機会に使いました。すでにセックスをしたことがあったので心理的抵抗は少なかったですし、説明書をちゃんと読んで臨んだので、最初は少し大変だったけどすぐ入れられるようになりました。プール以外にも軽い日用のナプキンと併用して使うときもありました。夜眠る時に初めてタンポンを使ったときは、後ろ漏れを気にしなくても良い快適さに感動しました。
-高校を卒業して以降はどうしましたか?生理に変化はありましたか?
一年浪人したのですが、浪人中は勉強の日々だったので、とにかく座っている時間が多かったです。座っているときとそれ以外のときではナプキンの経血がつく位置が変わるので、座っているときはナプキンの位置を調整していました。生理や体調の変化はとくになかったです。
そして大学に進学しました。実家から通っていたのですが、この頃から生理用品を自分で買うようになりました。
大学生になってからPMS(PMDD)がつらくなりました。わたしはメンタルにくるタイプで、情緒不安定になってどうしようもなく泣きたくなるんです。
その状態は生理3日前に始まって生理中も続き、生理が終わると気分が晴れるという流れで、毎月繰り返していましたね。
情緒不安定なときは彼氏にそのことを暗に伝えて受け止めてもらったり、当時流行っていた mixiにPMSのコミュニティがあったのでそこで情報収集をして、自分のつらさをシェアしていました。mixiのコミュニティで生理で情緒不安定になることは、自分だけじゃなくて他の人にもあることなんだと思えたのがよかったです。この頃は、婦人科に行ってみようとか、低用量ピルを検討するなどの対処法は思いつきませんでした。ピルは避妊のためのものという印象でした。
-大学を卒業してからはどうなりましたか?
大学を卒業して銀行に就職しました。実家から通える転勤のない職務採用だったので、変わらず実家住まいでした。女性が多い職場だからか、生理には一定の理解がありましたが、生理休暇の制度はなかったですね。母が以前に化粧品会社に勤めていて、その会社には生理休暇制度があることを聞いていたので、生理休暇がすべての会社にある制度ではないことを社会人になって知りました。大学生のときに悩んだPMS(PMDD)の情緒不安定さは、楽になっていきました。わたしは負けず嫌いなので、生理が理由で仕事ができていないと言われたくない、男性から情緒不安定だと思われたくない、自分からも「PMSだから」と言いたくないという気持ちが大きくて、「わたしは健康です!」とアピールしたい気持ちで過ごしていたら、あまり感じなくなりました。気合いで乗り切っていたのだと思います。
-30代になって、生理や体調、環境の変化はありましたか?
30代になってから生理が安定したように思います。33歳で銀行をやめた頃から、生理周期がずれるときにはその理由がわかるなど、体調のゆらぎに敏感になっていきました。とくにここ3、4年はストレスが生理に連動することがわかるようになりましたね。銀行員のときはストレスがあることが当たり前の日々で、自分の身体の細かなゆらぎを気にすることもなかったからだと思います。
仕事を辞めた後、風俗の仕事をしていた時期があります。そのときに初めて「海綿」の存在を知りました。海綿はスポンジみたいなものなのですが、生理中に勤務をする場合はそれを腟に入れておくんです。スタッフの人からそう教わるのですが、海綿が腟のなかで経血を吸収するので、経血が外に出てこないんです。そういうものがあるんだと驚きました。
それから今の仕事(恋愛や性の心理カウンセリング)を始めました。この頃から布ナプキンを使い始めたり、月経カップにも興味を持ったりと、生理についても興味が出てきました。布ナプキンはエステティシャンの方に勧められて使ったのですが、身体を冷やさないようにできるし、生理日以外でも使えるから、生理がいつきても安心だと思いました。月経カップやディスクにも興味を持っていたところ、ドン・キホーテで安売りしていた月経カップを見つけて試してみようと思って買ってみたのが、コロナ禍のときです。ステム(底部の取り出しサポート部分)がリングタイプの月経カップだったのですが、取り出すときにうまく引っ張れなくて難儀しました。その後も使い方のコツを調べたり人に聞いたりしたものの、なかなかその月経カップはうまく使えなくて、使用をやめました。でも、こないだ参加したmurmoのイベントで、使い方のコツなどをくわしく聴いたので、また月経カップを使ってみたいなと思いましたし、生理の選択肢として広がっていってほしいと思います。
-生理をふりかえって、いま何を思いますか?
実体験として、健康的な生活をすると生理が軽くなると思いました。
30代半ばから、食生活に気をつけたり、ストレスを溜めないようにしていくことで、心身の健康が生理にあらわれることを実感しました。自分の身体と向き合うことって大切だと今は思えるし、そう思える人が増えていったらいいな。
注釈:「わたしの生理」では、いろんな世代・環境の方が、生理とどのように向き合って暮らしてきたのか記録し共有することで、隠されがちな生理を考えて話すきっかけにしたいと取り組んでいます。特定の商品やサービスまたは対処法を推奨するものではありません。掲載されている内容はその方個人の体験ですので、気になる症状がある際はご自身で医療機関にご相談ください。
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