タンポンや月経カップで起きると言われるTSS(トキシックショック症候群)ってなに?

月経カップとタンポンは、どちらも腟に入れて使用する生理用品です。そのため衛生的に使うことが大切です。月経カップをやめた方がいいかもと思う方の中には、月経カップやタンポン使用時の注意として書かれる、TSS(トキシックショック症候群)への恐れを感じられていることもあるのではないでしょうか。

月経カップを安全にご使用いただくことは決して難しいことではありません。安全に使うためにも、TSSのことを知っていただき、正しい使い方やお手入れ方法をご紹介します。


●トキシックショック症候群(TSS)とは?

TSSの概要

TSSは、黄色ブドウ球菌によって引き起こされる急性疾患です。黄色ブドウ球菌はバクテリアの一種で、珍しいものではなく、人間の皮膚、鼻の穴、脇の下、足の付け根や腟などでもよく発見される細菌です。多くの場合は健康被害をもたらしません。ですが、ごくまれなケースとして、TSSを引き起こす毒素を産生することがあります。


TSSの症状

TSSの症状の一部は重症のインフルエンザにとても似ており、次のような症状が現れると言われています。

  • 急な発熱をともなっての発疹・発赤
  • 倦怠感
  • 嘔吐や吐き気
  • 下痢
  • 粘膜充血
  • 失神または失神に近い症状
  • 筋肉痛
  • めまい
  • 意識の混濁   など

TSSは、タンポンでの発症例が多いものの、タンポン使用者のみに起きるものではなく、男性、女性また子どもにかかわらず誰でも発症する可能性があります。火傷や切り傷などによって発症する場合があります。


タンポンや月経カップの説明書には、なぜTSSの注意書きがあるの?

使用方法によっては、TSSのリスクが少なからずあるからです。例えば、着脱時に手指を清潔にしなかったり、取り出しを忘れて長時間使用する、月経カップの場合は適切な洗浄を行わないなどの扱いによって、腟内で黄色ブドウ球菌が増殖して、毒素を産生しやすくなると言われています。着脱前には手指を清潔にすることや、連続使用時間を守ること、月経カップ自体の消毒・洗浄を適切に行うなど、説明書に従って使用することで、TSS発症の可能性は軽減できると言われていますので、使用前には説明書を必ずお読みください。


TSSにかかったかもしれないと思ったらどうすればいい?

なお、TSSの疑いがあると感じた場合には、すぐに医師の診察を受ける必要があります。月経カップ使用の場合は、お近くやかかりつけの産婦人科に急ぎご連絡ください。また、タンポンや月経カップを使用している場合にはすぐ取り除いて、使用していた旨を医師にお伝えください。早期に適切な医療処置を受けることが大切です。



●月経カップとTSS

月経カップの仕組み

月経カップは、医療用シリコーン、またはTPE(熱可塑性エラストマー)などで作られた弾力のあるカップ型の生理用品です。経血を吸収するのではなく、カップに溜める仕組みです。一定時間装着して、取り外し、洗浄して再度利用する使い捨てないタイプの生理用品です。


月経カップの使用時間

月経カップは8〜12時間(メーカー基準による)連続使用することができます。この長時間の使用が可能な理由は、月経カップが経血を吸収せず、細菌の繁殖を助長しないためです。ただし大切なのは、月経カップの煮沸消毒・洗浄や取り替え時の手指を清潔にすることなど、清潔に使うことです。


月経カップのTSSリスク

研究によると、月経カップの使用はTSSのリスクを低減させます。これは、月経カップが経血を吸収せず、細菌の繁殖を助長しないためです。また、月経カップは最大12時間連続使用できるため、タンポンよりも頻繁に交換する必要がなく、利便性も高いです。具体的な研究として、2015年にフランスで行われた研究がありました。この研究では、月経カップとタンポンのTSSリスクを比較しました。研究結果によると、月経カップはタンポンに比べてTSSのリスクが低いことが確認されました。


月経カップに関連するTSSの症例

月経カップに関連するTSSの症例は非常に稀ですが、いくつか報告されています。例えば、2015年のフランスの研究では、月経カップ使用者のTSSの症例が3件報告されました。これらの症例の原因としては、月経カップの適切な使用方法を守らなかったことや、カップの衛生管理が不十分だったことが考えられます。具体的には、カップの洗浄不足や適切な煮沸消毒を行わなかったことが要因とされています。


月経カップの医療機器認定

日本では、月経カップが2017年に医療機器として認定されました。(タンポンも同様の医療機器です)。この認定によって、製品の安全性と品質が保証されるようになり、安心して使用できるようになりました。医療機器として認定された月経カップは、厳格な品質管理基準を満たしており、TSSのリスクを最小限に抑えるための設計がされています。


●月経カップのメリット

1.ムレやニオイが気にならなくなる

腟内に装着するため、外部に装着する生理用品で感じやすい、生理用品によるムレやニオイを感じにくくなります。

2.取り替え頻度が減らせる

 月経カップは、一度挿入すれば最大8〜12時間(メーカー基準による)まで使用可能です。これにより、外出時や就寝時など、頻繁に取り替える必要がないため、生活の質が向上します。特に忙しい日常生活や旅行中など、頻繁に月経用品を交換できない状況でも安心して過ごすことができます。


3.荷物が減る

使い捨ての生理用品を使っている場合、また短時間で取り替えが必要な生理用品を使っている場合は、替えの生理用品をいくつも持ち歩く必要があるため、荷物の多さにげんなりする方も多いと思います。さらに生理が被る旅行のときは、スーツケースに結構な量の生理用品を詰めていくというケースも。月経カップの場合は、洗浄できる環境さえあれば、同じものを再度利用できるため、生理用品の荷物を減らすことができます。

4.環境に優しい

月経カップは、繰り返し使用が可能なため、使い捨ての月経用品に比べてゴミを大幅に減らすことができます。通常のナプキンやタンポンは、毎月数十枚から数百枚が廃棄されますが、月経カップは1つで数年間使用できるため、環境保護に大きく貢献します。環境問題への関心が高まる中、持続可能な選択として特に海外を中心に月経カップを選ぶ人が増えてきています。
 

5.買い替え頻度が減り経済的

一度購入すれば、最長10年(メーカー基準によって異なる)使い続けることができる月経カップは、長期的に見ると非常に経済的です。使い捨てのナプキンやタンポンは毎月購入し続ける必要がありますが、月経カップは初期投資のみで済みます。これにより、毎月の出費を抑えることができ、長期的には大幅なコスト削減が期待できます。

6.生理中のスポーツや温泉やサウナなど水場での利用が快適に

月経カップは、腟内に装着するタイプの生理用品のため、これにより、生理期間中でも自由にアクティブな生活を送ることができます。スポーツやフィットネス、プールや海での水泳など、行動制限なく楽しむことができるのも、大きなメリットです。さらにお子さまとお風呂に入る方ときの生理にわずわらしさを感じている方も、家のお風呂で月経カップを着用して入ることで、そのわずらわしさを無くすことができます。


7.生理用品をつけている違和感を感じにくい

外側に装着する生理用品の場合、デリケートゾーンに当たる違和感や濡れた感覚などを感じることもあると思います。月経カップの場合は、腟内に装着するため、身体に合ったものであれば、違和感を感じなく、生理であることを忘れる瞬間すらあります。

特にmurmoの月経カップは、はじめての方にもお使いいただきやすい細身の形状にしているため、腟内での違和感を感じにくい仕様となっています。もしこれまでに大きめの月経カップで異物感を感じられた場合には、ぜひmurmoを試していただけばと思います。


8.メモリで自分の経血量を把握することができる

月経カップによっては、カップの内側にメモリがついているものがあります。murmoの月経カップも5ml単位でメモリがついているので、取り出した時にご自分の経血量がどれくらいなのか把握することができます。経血量を長期的に把握することは、ご自分の健康のバローメーターになります。

 

まとめ

月経カップはやめた方がいい、怖いと思われる方もいらっしゃると思いますが、実際には非常に安全で快適な生理用品です。正しい使い方を学び、自分に合ったサイズを選ぶことで、月経カップで生理を快適に送ることができます。

murmoの月経カップは、月経カップを使ったことがない方にも試作品のモニターをしていただき、はじめての人が使いやすいあえての1サイズとして設計しました。
初めて使う際には少し練習が必要かもしれませんが、そのハードルを越えやすいアイテムとなっています。一度慣れてしまえば、その利便性や経済的、環境的なメリットを実感できると思います。
もし、ご興味を持った方は、一度murmoの月経カップを試してみてください。あなたの生理期間がより快適で自由なものになることを願っています。


参考文献:
- 「Toxic Shock Syndrome (TSS) associated with menstrual cups: a French case series」(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4556184/

- 「トキシックショック症候群(TSS)とは?」(日本衛生材料工業連合会:https://www.jhpia.or.jp/standard/tss/tss1.html

- 「Toxic Shock Syndrome」(Healthline:https://www.healthline.com/health/toxic-shock-syndrome

- 「Toxic Shock Syndrome - Symptoms and causes」(Mayo Clinic:https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/toxic-shock-syndrome/symptoms-causes/syc-20355384


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