Vol.022 - きっかけは青年海外協力隊 中南米での暮らしとともに 変化していく生理

Kana　36歳　日本語教師（メキシコ在住）

初経：中学3年生(15歳)

現在の平均生理日数：6日

現在の平均生理周期：28〜31日

現在使っているサニタリーグッズ：生理用ナプキン

- 生理はどんな日？

少し手間がかかる日

- 生理と聞いて浮かぶイメージは？

女性特有のもの

- ここから、生理を軸にご自身の半生をふりかえっていきたいと思います。初経はいつですか？どんな風に覚えていますか？

中学3年生の修学旅行初日です。出発当日の朝、パンツに経血がついていることに気づいて、生理がきたんだと思ったんです。恥ずかしさもあって、母親にはなにも言わず、トイレにストックされていたナプキンをつけ、旅行用にもいくつかカバンに入れて、修学旅行に行きました。

修学旅行中に生理トラブルは起きなかったです。漏れたり、お腹がいたくなったりもとくになかったですね。お風呂は少し不便でした。みんなで大浴場に入るしかなかったので、シャワーだけで済ませました。

友達にも生理がきたことは言いませんでした。というのも、生理のことは誰かに言うものじゃないという感覚があったんですよね。だから修学旅行から帰ってきてからも、母親に生理のことは話しませんでしたし、母親からもなにも言われなかったです。自宅のトイレにストックしてあるナプキンが減っていることやサニタリーボックスにナプキンが捨ててあることで、母はわたしに生理がきていることを自然と知ったと思います。

部活では吹奏楽をやっていました。そこでも生理で部活に支障が出ることはなかったですし、そもそも私は軽い方だったと思います。生理痛もなければ、量が多いということもなく、生理周期も整っていました。

-高校生になってどう変わっていきましたか？

吹奏楽をもっと真剣にやりたいと思い、吹奏楽部の強豪校へ進学しました。生理自体は、中学の時と変わらず軽めでしたが、部活には少し支障がでるようになりました。365日中360日部活動、長時間座って練習する日常でトイレに行くタイミングが限られていたので、ナプキンがデリケートゾーンにあたる気持ち悪さやムレの不快感を感じるようになりました。とくに大会やコンクールに生理が重なると嫌だなと思っていた記憶があります。衣装を着るので漏れの心配もあり、夜用ナプキンを使ってしのいでいました。

-高校を卒業して以降はどうしましたか？生理に変化はありましたか？

一年浪人して大学に進学しました。浪人中は地元にある親がやっていた焼き鳥屋で働いて、その働いたお金で入試の3ヶ月前から家庭教師をつけて勉強しました。大学入試は公募推薦枠だったので、センター試験を受けることなく、受験科目も国語と英語の二教科のみでした。そういった状況だったので3ヶ月間、二教科を集中して勉強して、晴れて合格しました。

大阪にある大学に進学してスペイン語を4年間学びました。実家から遠かったので、一人暮らしも始めました。実家暮らしから一人暮らしになったことで、自炊や掃除も自分でやるようになり、大学でも吹奏楽の部活を続けたので、忙しい日々でした。アルバイトをする余裕はなく、奨学金でやりくりしました。

生理はこの頃から生理前に食欲が増え、眠気が出るようになりました。生理前の食欲増加は今も続いています。それ以外の生理による体調の変化はとくになかったと思います。

-大学を卒業してからはどうなりましたか？

地元に戻って、実家の焼き鳥屋で働き始めました。在学中に就職活動をしたのですが、うまくいかなかったんです。しばらく焼き鳥屋で働いていたところ、地元にあるホテルで副支配人をしている常連さんとお話する機会があり、そのホテルが人を募集していたご縁もあって、ホテルに就職しました。

最初はベルサービス、その後はフロントサービスとして、合計4年間働きました。ホテルを辞めてから1ヶ月間オーストラリアに行ったんですが、帰国してこれから先のことを考えようと思ったときに、実家の焼き鳥屋が人手不足だったため、再び焼き鳥屋で働き始め、2、3年ほど勤めました。

それからは、29歳のときに2年間、青年海外協力隊としてエクアドルに行きました。元々海外ボランティアや中南米に興味があったし、大学で4年間スペイン語を学んでいて、スペイン語圏に行きたいと思っていたんです。実際に行くことになったきっかけは、働いている焼き鳥屋に来てくださったお客さんとの出会いです。その人は青年海外協力隊を運営するJICAの訓練所で働いていた方で、お話をしているうちに「あなたなら受かるよ」と言ってもらい、じゃあ受けてみよう！と一念発起して応募したところ、無事に受かりました。

わたしは、エクアドルの環境教育の職種で採用されました。具体的には、エクアドルの市役所の環境課に配属されて、ごみの分別や収集に行ったり、小中学校や地元のラジオで環境にまつわる話をしたり、アクティビティを取り入れた授業を行うなどしました。2年間とても充実していて楽しかったです。

エクアドルに行ってから、生理に異変が起きました。これまで規則正しかった生理周期が乱れて、25日でくるときもあれば、1ヶ月半こないこともあったり、生理周期が読めない状態になったんです。JICAからは現地で基礎体温と生理周期を記録するように言われていたのですが、あまり気にせずにいたら生理周期がずれていった次第です。

青年海外協力隊に行く前にも、3ヶ月分の生理周期と基礎体温を記録してJICAに提出する必要がありました。青年海外協力隊の活動はこれまでの生活から大きく環境が変わるので、生理に変調が起きやすいことがこれまでの知見からわかっていて、体調の変化を把握するためにも事前にそういったことを行うんだと思います。

生理用品は、一袋だけ日本製のナプキンを持っていき、使い切ってからは現地のナプキンを買って使っていました。エクアドルのナプキンは、個包装のパッケージからナプキンをはがすときに若干の手間がかかる仕様でしたが、それ以外の不便さは感じませんでした。

エクアドルでは、いつ生理がくるかわからない状態になったので、ヒヤヒヤしましたが、それ以外の体調変化はなかったです。

-青年海外協力隊を終えてからはどうなりましたか？

31歳のときに2年間の活動を満期で終了し帰国して、再び実家の焼き鳥屋で働き始めました。エクアドルの生活がとてもよかったので、また行きたいと思ったのですが、ちょうどコロナの時期もあり、約3年間日本にいました。

この頃から生理が重くなり、生理2日目頃に強めの生理痛が出るようになって、年に数回は痛み止めを飲まないと厳しい状態になりました。

日本で生活をしながら海外に行く機会をうかがっているなかで、在エクアドル日本国大使館の草の根職員という枠の募集があり、またエクアドルで働きたいと思い応募しました。ですが語学力が足りないと言う理由で落ちてしまい、それがきっかけで、改めてスペイン語を勉強しなおそうと決めました。同時に、エクアドルにいたときに参加したJICA主催セミナーで紹介されたメキシコの人材派遣会社のことを思い出して登録をしました。その会社を通して日本にいながらメキシコでの就職活動を行い、メキシコにある日系企業での営業職に採用されました。

2年半前にメキシコに渡り、スペイン語を使って仕事と生活をしながら、スペイン語の学校に通う日々が始まりました。その日系の会社では1年半働いて3ヶ月前に辞め、現地で日本語を教える仕事を始めました。さらに来月から通訳の仕事も始めます。4年間現地で生活すると永住権を取れるので、少なくともそれまではメキシコにいようと思っています。その先のことはまだ考え中です。

メキシコでの暮らしはとてもおもしろいです。まず言語がスペイン語といっても、メキシコ特有の言い回しや表現が多いんです。言葉の通りに受け止めると意味がちがうことが多いので、きっとこういう意味かな？とあたりをつけながらコミュニケーションを取っています。あと、メキシコの人たちはその日暮らしが基本なので、まったく貯金をしないんです。だから給料の支払いも週払いが基本だったり、日本とのちがいがたくさんあります。メキシコには日本語を学びたい人も多くいて、日本語の需要があることを感じていますし、日本に興味を持ってもらえることをうれしく思っています。

メキシコに渡ってからも生理は変わらずで、周期は乱れず順調ですが、生理2日目の生理痛があります。生理前の食欲の増加もなかなか激しいです。ちなみにメキシコのナプキンはエクアドルのものと変わらないです。わたしはこの2年メキシコのナプキンを使っています。

-生理をふりかえって、いま何を思いますか？

ふりかえってみて、初経がきてからの最初の16、17年、年齢的には30代頭くらいまでは比較的生理が軽かったので、生活が生理に影響を受けることがなくてよかったんですけど、30を過ぎてから、生理2日目が重くなって、身体が変わってきたのかなって思いました。

注釈：「わたしの生理」では、いろんな世代・環境の方が、生理とどのように向き合って暮らしてきたのか記録し共有することで、隠されがちな生理を考えて話すきっかけにしたいと取り組んでいます。特定の商品やサービスまたは対処法を推奨するものではありません。掲載されている内容はその方個人の体験ですので、気になる症状がある際はご自身で医療機関にご相談ください。